終の住み処を安心して暮らせる環境に

介護職は意思疎通が出来ない方や時には看取ることもある過酷な仕事。そしてこのことを承知の上で成り立つ尊い仕事でもある。尊厳を尊重しなくてはならない仕事ではあるが、それに見合う給料を得られるかは別問題。他の業種に比べ低賃金を理由に敬遠されているため人材を確保するのにどこの介護施設も苦慮している。

既定の人員を確保できなければ介護施設は行政処分を受けることになり、たちまち要介護者は介護難民となる。そのため、介護施設の中には本来介護に適さない方を採用することになり、高い志をもったスタッフと介護に適さないスタッフ間とで度々トラブルに発展する。

仕事を斡旋する機関も、職に就けない人に安易に介護職を勧める事態になっており、そのシワ寄せは要介護者も被ることになる。高い志をもったスタッフがどんなに頑張って介護を行っても365日24時間働き続けることは不可能である。せっかく時間を掛け要介護者と築いた信頼関係も介護に適さないスタッフにより一瞬で壊され、改めて時間を掛けて信頼関係を構築しなくてはならない。志をもったスタッフでも次から次へと問題が発生するとパニック状態に陥り、要介護者に心無い対応を取ってしまうことがある。

要介護者の家族に、たまには施設に来て下さいと言っても、実際に訪れることは少なく介護施設に預けっぱなしの家族が多い。人生の終焉を迎える要介護者が変わることは困難。介護に向き不向きに関係なく変わることが出来るのは介護スタッフだけ。終の住み処になる介護施設では要介護者に来て良かったと思ってもらえることが最高の喜び。志を妥協しなくてはならないこともあるが介護スタッフは日々奮闘して介護を行っている。